同一製品のバリアント管理
サイズや色違いなどの「同一製品バリエーション」をERPNextで効率的に管理する方法を、BOMの書き方と具体的なメリットから解説します。

ERPNextで同一製品のバリアント管理 — サイズ・色違いもラクラク
サイズや色の違いがある製品を、Excelで個別に管理していませんか?
ERPNextなら 「アイテムバリアント」機能 を使うことで、共通部分は一つにまとめつつ、違いだけを効率的に管理できます。
1. はじめに — ERPに「バリアント管理」がないと何が起こるか?
サイズや色の違いがある製品を、みなさんはどう管理していますか?
多くのERPでは「バリアント管理」が弱かったり、そもそも存在しなかったりします。
そのため現場では、サイズ違いや色違いを 別アイテムとして重複登録 し、
在庫や売上分析、BOM修正のたびに余計な工数やミスが発生してしまいます。
ERPNext.JPなら、共通部分を一つにまとめつつ、違いだけを効率的に管理できる 「アイテムバリアント機能」 を標準で備えています。
煩雑な登録や修正作業を減らし、在庫・販売・製造のすべてをシンプルに運用できます。
この記事では、
- バリアント機能がないと現場で起こる困りごと
- ERPNext.JPのバリアント管理の仕組み
- 実際のマスタ(BOM等)の書き方と具体的なメリット
をわかりやすく解説していきます。

2. バリアント機能がないと、何が困るのか?
バリアントがないERPでは、現場のいたるところで非効率やミスが生じます。
ここでは代表的な4つの困りごとを、業界ごとの具体例で見ていきましょう。
2-1. BOM管理の非効率
同じ部品を何度も登録しなければならない。修正や更新が大変です。
- 製造業(家具):
同じテーブルでも「天板の色違い」でBOMを再登録 → ✖修正漏れが発生 - 金属加工:
寸法違いを別の品目として登録 → ✖部品変更時に数十件を一つずつ直す必要 - 食品メーカー:
容量違いの包装(1kg袋・5kg袋)ごとにBOMを作成 → ✖原材料改定の反映漏れ
2-2. 在庫の見えにくさ
個別の在庫数はわかっても、全体像をすぐに把握できない。欠品や在庫過多の原因になります。
- アパレル:
在庫レポートが「TシャツS」「M」「L」に分かれて、合計で何枚あるかが即答できない - 食品メーカー:
容量違い(1kg缶・5kg缶・20kg缶)を別の品目として管理 → ✖倉庫内の在庫切れを見落とす - 電子部品:
抵抗器の規格ごとにバラバラ管理 → ✖「全体で何千本あるか」が見えず調達遅れ
2-3. 販売・分析の困難さ
売上や需要の傾向を正しく把握できない。販売戦略に影響します。
- 小売(ECショップ):
サイズごとに商品ページを作らないといけず、売上が分散して分析が難しい - 化粧品:
同じシリーズで容量違い → ✖「シリーズ全体でどれだけ売れたか」が集計できない - 飲料メーカー:
ラベルデザインごとに別の品目扱い → ✖プロモーション効果を正しく測定できない
2-4. 現場のオペレーションミス
品目が膨大になりすぎて、入力や選択時に間違いが発生する。現場の負担を増やします。
- 自動車部品:
色違いを別の品目として管理 → ✖出荷時に誤って別の色を発送 - 建材(工務店):
厚み違いで商品コードが乱立 → ✖見積入力の取り違えが頻発 - 医療消耗品(手袋):
サイズ別に品目を細かく登録 → ✖補充オーダーの誤発注が多発
👉 業界を問わず、 「共通部分が多いのに重複登録」 という非効率さが必ず発生します。
ERPNext.JPの「アイテムバリアント」なら、こうした課題を根本的に解消できるのです。
3. ERPNext.JPのバリアント管理の仕組み

ERPNext.JPでは、アイテムを「テンプレート」と「バリアント」に分けて管理します。
これにより、共通する部分は1回の設定で済み、違いだけを追加する仕組みになっています。
3-1. アイテムテンプレート
- 製品名・主要部品・会計科目など、全てのバリエーションで共通する情報をまとめて管理します。
- 例えば「Tシャツ」をテンプレートにすれば、販売価格や会計処理ルールはここに1回だけ登録すればOKです。
👉 メリット
- BOM管理の効率化:
原材料の変更も、テンプレートのBOMを修正するだけで全サイズ・色に反映。修正漏れがなくなります。 - 在庫の見やすさ:
テンプレート単位でも、サイズ・色別のバリアント単位でも在庫を表示できるため、「全体で何枚あるか」と「各サイズごとの在庫数」を両方確認できます。
3-2. バリアント
- テンプレートに対し、サイズ・色・材質などの違いを持たせた派生アイテムを「バリアント」として作成します。
- バリアントは手動登録だけでなく、属性を組み合わせて 自動生成 することも可能です。
例:色(赤/青/白) × サイズ(S/M/L) → 9種類のバリアントを一括生成。
👉 メリット
- 現場オペレーションの使い勝手:販売画面や受注画面では、テンプレートからバリアントをプルダウン選択できるため、入力時の迷い・誤選択を防止。
- 販売分析のしやすさ:「Tシャツ全体の売上」と「赤Mだけの売上」を自在に切り替えて確認でき、需要の傾向を的確に把握可能。
- 在庫の精度向上:バリアント別の在庫数を正しく管理できるため、「Lサイズだけ欠品」といった状況にも即対応できます。
3-3. 仕組み全体の効果
ERPNext.JPのバリアント管理は、単なる在庫管理の効率化にとどまりません。
- BOM修正漏れがなくなる → 設計変更や原材料改定に即対応
- 在庫の可視化が進む → 全体像と詳細の両方を把握可能
- 販売戦略に活かせる → 色やサイズ別の人気動向を分析できる
- 現場の作業負担を軽減 → 品目が乱立せず、入力や出荷のミスを削減
👉 つまり、バリアント管理は「製造」「販売」「在庫」「会計」のすべてに効く仕組みです。
ERPNext.JPなら、この仕組みを標準機能で利用できます。
4. 実際のマスタ登録
ここからは、ERPNext.JPでの実際のバリアントの登録手順を紹介します。
一度テンプレートを作ってしまえば、あとは自動でバリアントに反映されるので、登録作業やメンテナンスの手間が大幅に減ります。

4-1. テンプレートBOMを作成
まずは「アイテムテンプレート」に対して共通のBOMを作成します。
- 例えば「Tシャツ」テンプレートを作り、部品として「生地」「糸」など 全サイズ・全カラーで共通の材料 を登録します。
- サイズや色ごとに異なる部品がある場合は、「属性依存の部品」 として条件を指定して登録できます。
例:Lサイズだけ多めの生地を使用する、特定の色には別の染料を使用する 等。

テンプレートBOMの登録画面。共通部品と、バリアントごとに違う部品を分けて登録可能。
👉 ここでのポイント
- 共通部品は1回だけ登録すればOK
- 属性依存の部品を使えば、例外パターンも一元管理できる
4-2. バリアントに自動反映
テンプレートに設定したBOMは、作成した全てのバリアントに自動で展開されます。
- 「赤S」「赤M」「青L」など複数のバリエーションを用意しても、BOMを一つずつ作る必要はありません。
- 部品の変更や追加も、テンプレートを直すだけで 全バリアントに一括反映 されます。
テンプレート修正後に、全バリアントのBOMが自動更新された画面。
👉 ここでのポイント
- 設計変更や原材料コスト改定にすぐ対応できる
- 修正漏れや二重登録を防止できる
- バリアントが数十種類あっても、管理はテンプレートBOMだけ
4-3. 業務上のメリット
この仕組みのおかげで、現場では以下のような効果があります。
- 製造現場:BOM修正が一度で済むため、手戻りや間違いが激減
- 購買・在庫:どのサイズ・色でも共通部品の使用量を即把握でき、発注精度が向上
- 経営・分析:部品コストの変更が自動で反映されるため、利益計算が正確になる
👉 ERPNext.JPのバリアント管理は、マスタ登録の効率化だけでなく、現場の正確性とスピード に直結するのです。
4-4. 実際にバリアントを自動生成する手順
ERPNext.JPでは、サイズや色などの組み合わせを指定すれば、バリアントを自動生成することができます。
手作業で一つずつ登録する必要はありません。
手順の流れ
-
アイテムテンプレートを開く
「Tシャツ」などのテンプレートを選択します。 -
属性を設定する
例:色(赤 / 青 / 白)、サイズ(S / M / L) -
組み合わせを自動生成
色 × サイズ = 9種類のバリアントを一括作成できます。 -
在庫やBOMに自動反映
生成された各バリアントには、テンプレートのBOM・会計設定などが引き継がれます。
属性を指定すると、全組み合わせのバリアントを一括生成できる。
👉 この仕組みにより、数十〜数百パターンの製品バリエーションも短時間で登録でき、
その後の在庫管理・BOM管理も一貫して効率化されます。
5. 実際の画面例 — 在庫レポートと販売注文
ここまで見てきた仕組みやマスタ登録が、実際の画面ではどのように活用できるのでしょうか。
ERPNext.JPでは、在庫や販売の場面でもバリアントがシンプルに扱えるようになっています。
5-1. 在庫レポート
- バリアントごとの在庫数を一覧表示できるだけでなく、テンプレート単位で全体の在庫を集計することも可能です。
- たとえば「Tシャツ(テンプレート)」の在庫を一目で確認しつつ、「赤M」「青L」といった詳細もすぐに追えます。
- 倉庫担当者は「どのサイズが欠品しそうか」「全体であと何枚残っているか」を同じ画面で把握できます。

在庫レポート画面。テンプレートとバリアントの両方で在庫数を確認できる。
5-2. 販売注文画面
- 見積や販売注文では、アイテムテンプレートを選ぶと、プルダウンからバリアント(サイズ・色違い)を簡単に指定できます。
- これにより、営業担当は迷わず正しい品目を選択でき、誤入力や発注ミスを防げます。
- また、販売分析でも「シリーズ全体の売上」と「バリアント別の売上」を自在に切り替えて確認できます。

販売注文画面。テンプレートからバリアントをプルダウンで選択できる。
👉 実際の画面を見てもわかる通り、ERPNext.JPでは「全体と詳細の両方」を簡単に扱えます。
次章では、バリアント機能を導入することで得られる総合的なメリットを整理します。
6. まとめ — ERPNext.JPのバリアント管理は必須機能
サイズ違いや色違いといったバリエーションは、多くの業界で当たり前に存在します。
しかし、管理の仕組みがなければ、修正漏れや在庫の見えにくさ、販売分析の難しさといった問題を引き起こします。
ERPNext.JPなら、
- アイテムテンプレートとバリアント で共通部分と違いを分離管理
- BOMの変更を全バリアントへ一括反映
- 在庫を「全体」と「バリアント別」の両面で把握
- 販売分析や受注入力をシンプルに
といった形で、製造・在庫・販売のすべてを効率化できます。
👉 バリアント管理は「あると便利」ではなく、現場を混乱から守る必須機能。
ERPNext.JPなら、月3万円から、この仕組みを標準機能としてすぐに使い始められます。