ロット管理と容器管理

ロット管理と容器管理の仕組み。ロット番号の命名規則、工程別のトレーサビリティ、容器の状態遷移を解説します。

5分

この機能の目的

製造業では、「この完成品は、どの原料ロットから作られたか」「不良が見つかった原料はどの製品に流れているか」を追跡できることが重要です。 ロット管理と容器管理は、原料の受入から完成品の出荷までの流れを 1 本のつながりとして記録する仕組みです。

この記事では、以下の 4 つの画面・機能を横断して解説します。

画面/機能用途URL
ロット実績入力各工程の完了時にロット番号を記録/app/lot-work-entry
容器台帳容器の一覧・状態確認/app/container-commit-view
トレーサビリティグラフロットの前後関係を視覚化/app/commit-link-graph
容器在庫台帳容器別の在庫推移レポートレポート画面

「容器」とは:ここで言う「容器」は、物理的なタンクや箱だけでなく、ロット単位の仕掛品の状態を管理する単位として使っています。画面上は容器ごとに数量や工程進捗を記録します。


ロット番号の命名規則

ロット番号は、製造段階に応じて 3 つの形式を使い分けます。

種類接頭辞形式解説
原料ロットRR{年月日}-{連番}R260302-01R(Raw) + 年月日 + 入庫順の連番
仕掛品ロットWW{年月日}-{工程記号}{連番}W260302-A1W(WIP) + 年月日 + 工程記号 + 連番
完成品ロットなし{年月日}-{ライン記号}-{連番}260302-A-01年月日 + ライン記号 + 連番

工程記号・ライン記号は、設備マスタに「A = 浸漬」「B = 蒸煮」「C = 接種」「D = 発酵」のように登録しておきます。


容器の状態

容器(ロット単位の仕掛品)は、3 つの状態を遷移します。

状態意味状況
利用可能次の工程で使える状態工程完了後
処理中発酵などの時間のかかる工程に投入中払出まで待機
消費済み次工程で使い切った、または出荷済み工程完了/出荷後

状態遷移のイメージ

利用可能 → (処理中)→ 利用可能 → 消費済み

発酵などの非連続工程では、一度「処理中」になり、工程完了時に「利用可能」に戻る流れを挟みます。


製造フロー(工程別のロット追跡)

全体の流れ

graph LR
  subgraph 原料受入
    A["R260302-01<br/>黒豆 3000g"]
  end
  subgraph 初工程_浸漬
    B["W260302-A1<br/>浸漬完了 60個"]
  end
  subgraph 中間工程_蒸煮
    C["W260302-B1<br/>蒸煮完了 60個"]
  end
  subgraph 中間工程_接種
    D["W260302-C1<br/>接種完了 60個"]
  end
  subgraph 最終工程_発酵
    E["260302-D-01<br/>発酵完了 60個"]
  end
  A -->|親| B
  B -->|親| C
  C -->|親| D
  D -->|親| E

各ステップの動作

1. 原材料の受入

項目動作
ロット番号R{年月日}-{連番} で自動採番
容器受入容器を「利用可能」状態で作成
在庫入荷記録と在庫仕訳を自動作成

2. 初工程(最初の加工工程)

項目動作
ロット番号W{年月日}-{工程記号}{連番} で新規採番
新しい容器「利用可能」状態で新規作成
前の容器受入容器を「消費済み」に変更
原料の消費在庫仕訳(材料払出)を自動作成
親ロット親 = 原料ロット として記録

3. 中間工程(2 つ目以降の加工工程)

項目動作
ロット番号新しく採番(前工程とは別のロット番号)
新しい容器「利用可能」状態で新規作成
前の容器前工程の容器を「消費済み」に変更
親ロット親 = 前工程のロット として記録

4. 時間のかかる工程(発酵など)

発酵のように時間がかかる工程は、「投入」と「払出」の 2 段階で処理します。

投入時:

項目動作
ロット番号新規採番
容器**「処理中」**状態で作成
追加情報発酵開始日時・場所を記録

払出時(工程完了時):

項目動作
処理中の容器「消費済み」に変更
新しい容器「利用可能」状態で新規作成
親ロット親 = 処理中だったロット として記録

5. 最終工程(完成品になる工程)

項目動作
ロット番号完成品用の形式 {年月日}-{ライン記号}-{連番} で採番
容器完成品容器を「利用可能」状態で作成
前の容器「消費済み」に変更
在庫製造の在庫仕訳を自動作成
ロット連携システム内のロット管理情報と連携

6. 出荷

項目動作
完成品容器「消費済み」に変更

ロット実績入力画面の操作

URL: /app/lot-work-entry

画面の構成

  1. 製造指図を選択:対象の指図を選ぶ
  2. 工程一覧:部品構成表(BOM)に登録された工程が順に表示される
  3. 工程ごとの操作:各工程で、完了・投入・払出などの操作を行う

連続工程の完了操作(浸漬・蒸煮・接種など)

  1. 工程を選択
  2. 完了数量を入力
  3. (初工程のみ)消費する原材料を選択(バーコードスキャンまたはリストから)
  4. 「工程完了」ボタンをクリック
  5. ロット番号が画面に表示され、ラベル印刷ボタンも表示される

時間のかかる工程の操作(発酵など)

投入:

  1. 対象工程(「処理中」表示のある工程)を選択
  2. 投入数量と場所を入力
  3. 「投入」ボタンをクリック
  4. 「処理中」状態のロットが作成される

払出(工程完了):

  1. 投入中の工程を選択(「処理中」表示)
  2. 良品数量を入力
  3. 「完了」ボタンをクリック
  4. 新しいロット番号が発番される

最終工程の完了操作

  1. すべての中間工程が完了していることを確認
  2. 最終工程を選択
  3. 完成数量を入力
  4. 「製造完了」ボタンをクリック
  5. 製造の在庫仕訳が自動作成され、完成品ロット番号とラベル印刷 URL が表示される

取り消し操作

直前の工程完了を取り消せます。

  1. 設備 ID を指定
  2. 「取消」ボタンをクリック
  3. 最後の工程完了記録が取消される

トレーサビリティ(追跡)

ロットの親子関係

各ロットには親ロットが記録されており、前工程のロットをたどれます。これにより、原料から完成品までの完全なトレーサビリティが構築されます。

R260302-01 (原料:黒豆)
  └─ W260302-A1 (浸漬)  ← 親: R260302-01
       └─ W260302-B1 (蒸煮)  ← 親: W260302-A1
            └─ W260302-C1 (接種)  ← 親: W260302-B1
                 └─ 260302-D-01 (発酵 = 完成品)  ← 親: W260302-C1

容器の変化記録

容器の状態変更は、すべて履歴として記録されます。

記録内容
新規作成工程完了にともなう新しい容器の作成
消費容器が次工程で使われたり出荷された
処理中に移行時間のかかる工程に投入された

グラフ表示

/app/commit-link-graph で、ロット番号を起点に前後の工程を視覚的にたどれます。 原料の仕入先情報、各工程での数量変化、最終製品の出荷先まで、一つのグラフで確認できます。


原価計算との関係

容器の作成・消費の記録は、月次原価計算の以下の処理で使用されます。

処理使用データ用途
仕掛品のイベント抽出容器の状態変更履歴仕掛品の動きを集計
最終製品の特定容器に記録された完成品コードひとつの完成品につながるロット群を特定
材料の消費順序容器の消費/作成履歴先入先出(古い原料から順に消費)で原価を計算
材料別の原価配分容器に記録された原材料情報品目ごとに材料費を配分

活用のヒント

  • ラベル印刷:工程完了時に表示される URL から、バーコード付きラベル(Code39 形式)を印刷できます
  • バーコードスキャン:ロット番号のバーコードをスキャンすると、前工程のロットを自動で引き継げます
  • 二重登録の防止:同じ工程を 2 回完了しようとしても、重複して記録されないようシステムが自動でチェックします
  • 工程飛ばしの防止:前工程が未完了のまま次工程を完了しようとすると、エラーになります
  • 品質メモ:各工程完了時に、品質メモや発生したロス数量を記録できます

もっと詳しく知りたいですか?

操作方法でお困りの場合は、お気軽にお問い合わせください。ERPNext導入の専門家が直接サポートします。