部品構成表(BOM)の登録と原価計算への影響
部品構成表(BOM)の登録方法と、原価計算への影響を解説します。原材料・工程・副産物の設定から、月次原価計算との関係まで。
5分
この画面でできること
**部品構成表(BOM)**とは、「ある製品を 1 個作るのに、どの材料を・どれだけ・どの工程で使うか」を一覧にしたものです。 (英語では Bill of Materials。以降「BOM」と呼びます)
BOM は、次の業務に直接影響します。
- 製造指図の作成: BOM に沿って、必要な材料と工程が自動で展開されます
- 所要量計算(MRP): BOM を順にたどって、必要な原材料の数量を自動算出します
- 原価計算: 材料費・加工費・間接費を計算するときの基準として使われます
管理画面URL: /app/bom-master

BOM の構成
BOM は、大きく 4 つの要素で構成されます。
- 基本情報(どの品目を・何個作る BOM か)
- 原材料リスト(何を・どれだけ使うか)
- 工程リスト(どの工程を通るか。任意)
- 副産物リスト(同時に発生する副産物や廃棄物。任意)
1. 基本情報
| 項目 | 内容 | 必須 |
|---|---|---|
| 品目 | この BOM で作る品目 | ✅ |
| 会社 | 対象会社 | ✅ |
| 数量 | この BOM で何個分を定義するか(通常は 1) | ✅ |
| 単位 | 製造単位(kg、個など) | ✅ |
| 有効/無効 | この BOM を使うか止めるか | - |
| 既定の BOM | この品目で標準的に使う BOM として指定するか | - |
| 工程あり | 工程(作業ステップ)を管理するか | - |
| 代替材料を許可 | 材料の代替使用を認めるか | - |
| ルーティング | 定型の工程セットを紐づける(後述) | - |
| 材料の消費タイミング | 製造指図で消費するか、工程カード単位で消費するか | - |
| 工程ロス率(%) | 製造中に出る標準的なロスの率 | - |
2. 原材料リスト
BOM を構成する原材料を列記します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品目コード | 原材料の品目コード |
| 品目名 | 自動表示 |
| 数量 | BOM 1 単位あたりに必要な量 |
| 単位 | 使用単位(kg、g など) |
| 在庫単位 | その品目の標準単位(自動表示) |
| 単価 | 品目価格から自動取得 |
| 金額 | 数量 × 単価 |
例:納豆の BOM
| 原材料 | 数量 | 単位 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 黒豆(国産) | 1.15 | kg | 1kg の製品に対し、歩留まりを考慮して 1.15kg |
| 納豆菌 | 0.5 | g | |
| 包装容器(わら) | 1 | 個 |
3. 工程リスト
工程あり を ON にした場合、製造工程を順に定義できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 工程名 | 工程マスタから選択(例:浸漬、蒸煮、接種) |
| 設備 | 使用する作業場/設備を選択 |
| 作業時間(分) | 1 回あたりの標準作業時間 |
| バッチサイズ | 1 回の作業で処理できる数量 |
| 加工費 | 工程の加工費(自動計算) |
4. 副産物リスト
製造過程で出る副産物や廃棄物を定義します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品目コード | 副産物の品目コード |
| 数量 | BOM 1 単位あたりに発生する量 |
| 単価 | 副産物の単価 |
BOM の登録手順
カスタム画面で登録する
/app/bom-masterを開く- 「新規 BOM」ボタンをクリック
- 対象品目を選択
- 原材料を追加(品目コード・数量・単位を入力)
- 必要に応じて工程を追加
- 「保存」ボタンで保存
標準フォームで登録する
/app/bom/newを開く- 各項目に入力
- 保存 → 提出
ポイント: BOM を提出すると、原価が自動で計算されます。材料費は「各原材料の単価 × 数量」の合計です。
BOM と原価計算の関係
BOM で算出される原価(標準原価)
BOM には、以下の 3 つの原価が自動計算されます。これは「標準的な原価」であり、実際の月次原価計算で計算される実績原価とは別物です。
| 区分 | 計算方法 |
|---|---|
| 原材料費 | 各原材料の(単価 × 数量)の合計 |
| 加工費 | 各工程の加工費の合計 |
| 合計原価 | 原材料費 + 加工費 |
月次原価計算での BOM の役割
月次原価計算(/app/costing-workbench)は複数のステップで実行されますが、BOM が特に影響する部分は以下の 3 点です。
① 直接材料費の計算に影響
- BOM に登録された原材料の構成が、材料費を配分する基準になります
- 実際に消費された材料の金額を、BOM の構成比率に沿って品目ごとに割り当てます
- BOM の数量を変更すると、配分比率が変わり原価に影響します
② 直接労務費の計算に影響
- BOM に設定された工程と、工程で使う設備の時間単価が計算の土台になります
- 実際の作業時間は、現場で記録された実績データから取得します
- 工程の追加・削除は労務費の計算に影響します
③ 間接費の配分に間接的に影響
- 間接費(光熱費・管理費など)の配分比率は、実際の労務時間や生産数に応じて決まります
- BOM の工程構成は、その実績データを通じて間接的に配分に影響します
原価の確認画面
月次原価計算の結果は、次の画面で確認できます。
| 画面 | URL | 内容 |
|---|---|---|
| 材料消費フロー | /app/costing-fifo-flow | 先入先出での材料の消費順序と単価の推移 |
| 仕掛品集計 | /app/costing-wip-summary | 工程別・品目別の仕掛品原価 |
| 差額レビュー | /app/costing-variance-review | 標準原価と実際原価のズレ |
| 前月比レビュー | 同上(前月比タブ) | 前月との原価比較 |
| 配分プレビュー | /app/costing-allocation-preview | 間接費の配分シミュレーション |
| 検算 | /app/costing-validation-summary | 原価計算の整合性チェック |
BOM の運用ルール
既定の BOM
- 各品目に対して1 つだけ「既定の BOM」を設定できます
- 製造指図を作るときは、既定の BOM が自動で選ばれます
- 所要量計算でも、既定の BOM が展開に使われます
BOM を変更するときは
- BOM を変更したい場合は、新しい BOM を作って、古い BOM を無効にするのが推奨です
- 月次原価計算を実施している期間中は BOM を変更しないでください(原価の整合性が崩れる可能性があります)
多層の部品構成
BOM は、最大 5 階層までツリー状に展開できます。
完成品 BOM
└─ 仕掛品A(BOMあり → さらに展開)
└─ 原材料X
└─ 原材料Y
└─ 包装資材B(BOMなし → 末端の材料)
所要量計算では、この階層をすべてたどって、最終的な原材料までの必要量を自動算出します。
活用のヒント
- 原材料価格の更新を BOM に反映:品目価格を変更したあと、BOM の「コスト更新」ボタンで最新単価を反映できます
- 工程ロス率の設定:ロス率を設定しておくと、計画数量が歩留まりを考慮した量に自動調整されます
- ルーティングの活用:同じ工程構成を複数の品目で使う場合は、工程セット(ルーティング)として登録しておくと、BOM 作成時にひとつ選ぶだけで済み、管理が楽になります