承認ワークフロー設定

購入依頼・経費精算・見積などの承認ルート、金額レンジ別の承認者、エスカレーション、予算上限、シミュレーションを一元管理する管理者向け画面の操作を解説します。

10分
最終更新: 2026年4月20日
中級
承認ワークフロー設定権限管理者

関連記事 日常の承認業務については 承認ハブ を参照。本記事は 承認ルートの設計・運用 を行う管理者・経理責任者向けです。

概要

承認ワークフロー設定は、購買承認 / 経費精算承認 / 見積承認 など複数種類のワークフロー設定を 1 画面で管理する画面です。金額レンジ別に承認ステップを組み、エスカレーションルール・予算上限・承認責任者の定義を一元管理できます。シミュレーション機能で実運用前に挙動を検証できるため、社内規程変更時の事故を防げます。

画面URL: /app/approval-workflow-settings

想定読者:

  • システム管理者(System Manager ロール)
  • 経理責任者(Purchase Finance Approver ロール)
  • 業務設計担当

この画面でできること

やること概要
Workflow Type の追加・切替購買承認/経費精算承認/見積承認 など種別ごとのルート
金額レンジ別承認ステップ0〜10,000円は自動、10,000〜100,000円は PR Approver 単独、それ以上は多段階
エスカレーション予算超過や期限切れなどの例外を上位承認者に自動エスカレ
予算管理部門・プロジェクト単位の予算上限と、予算超過時のフロー
シミュレーション金額・部門を入れて承認ルートを事前検証(ドライラン)
承認責任者未設定の検出部門マスタで承認者未設定の部門をハイライト

画面構成

Workflow Type カード(画面上部)

対応する承認種別がカード形式で並びます。

カード対象
購買承認購入依頼 (Material Request) の承認ワークフロー
経費精算承認経費精算(Expense Claim)の承認
見積承認売上側の見積(Quotation)の承認
+ (追加)新規 Workflow Type を追加

注意: 既定で登録されている Workflow Type は運用環境によって異なります。「購買承認」のみが初期登録で、経費精算・見積は管理者が追加設定する運用の環境もあります。スクリーンショット上の表示は本プロジェクトのデモ環境の例です。

アクティブなカードには緑のチェックマークが表示されます。各カードには「◯件のルール」と設定数が表示されます。

サマリ帯(カード下)

現在の運用状況を示すメトリクス。

メトリクス意味
今月のプラン数当月に適用された承認プランの件数
今月の自動承認率自動承認条件に合致した割合(%)
今月の承認所要時間申請〜最終承認の平均所要時間(h)
エスカレーション発動率想定ルートを外れてエスカレ発動した割合

承認ルート表(メイン)

選択した Workflow Type の承認ルート定義。

内容
金額レンジ適用する金額帯(例: ¥0〜¥10,000)
自動自動承認(✓)か人手承認か
承認ステップ承認者の連鎖(例: PR Approver → 部門長 → Purchase Finance Approver)

各行の右端にある鉛筆アイコンで編集できます。

購買承認の既定ルート例

レンジ自動ステップ
¥0〜¥10,000✓ 自動承認(人手不要)
¥10,000〜¥100,000PR Approver
¥100,000〜¥500,000PR Approver → 部門長
>= ¥500,000PR Approver → 部門長 → Purchase Finance Approver

エスカレーションルール

例外時の上位エスカレ先を定義します。

ルール名条件しきい値ステップ
予算超過エスカレーションBudget Overrun0%Budget Manager → Purchase Finance Approver

「ステップ間で重複する承認者は評価時に自動的にスキップされます」という補足あり。

ルートシミュレーター(右ペイン)

運用前に承認ルートをテストする機能。

入力内容
金額テストしたい申請金額
予算超過予算超過フラグ(チェックボックス)
部署申請元の部署

ボタン:

  • シミュレート: 指定条件での承認ルートを表示
  • 一括テスト: 複数パターンを一括検証
  • ドライラン: 実データを使った検証(書き込みなし)

フローチャート表示

フローチャート表示 ボタンで、現在のルートを視覚化した図を表示できます。複雑なルート構成のレビューに便利。

承認責任者未設定の部門 検出

画面下部にアラート:

承認責任者未設定の部門: 7件 [Customer Service, Dispatch, Human Resources, ...]

部門マスタ側で承認責任者 (Department Head) が未設定の部門を自動検出し、警告します。未設定のままだとエスカレーション時に自動ルーティングできないため、早めの補完が推奨されます。

下部タブ(詳細設定)

注意: 表示されるタブは Workflow Type によって動的に変わります。 下記は「購買承認」Workflow Type を選択している場合の典型例です。経費精算承認 / 見積承認など他の Workflow Type では、一部のタブが無かったり独自のタブが追加される場合があります。

タブ内容
ルール一覧表示(デフォルト)
基本ルール金額レンジと承認ステップの基本設定
エスカレーションルール例外フローの詳細
予算部門・プロジェクトの予算上限
予算ライン月次・四半期の予算ラインを設定
承認テスト過去データを使った回帰テスト
システムFrappe 内部連携や通知設定
会社設定会社単位の基本パラメータ

主な操作

1. 金額レンジのステップを変更する

たとえば「100,000円以上は部門長の承認も必要」に変更したい場合。

操作手順:

  1. 画面上の 購買承認 カードを選択(既にアクティブなら確認のみ)
  2. 承認ルート表で該当レンジの鉛筆アイコンをクリック
  3. 承認ステップの連鎖をドラッグ&ドロップで編集、または承認者ロールを追加
  4. 保存 して設定反映
  5. シミュレーター で確認(例: 金額 150,000、部門 A → 期待どおりか確認)

2. エスカレーションルールを追加する

期限切れ時に上位承認者へ自動エスカレを追加。

  1. エスカレーションルール タブを開く
  2. + 新規 で追加
  3. 条件を指定(Budget Overrun / Time Limit Exceeded 等)
  4. しきい値と上位エスカレ先ロールを設定
  5. 保存

3. シミュレーションで事前検証

運用変更前に必ず行うべき。

  1. 右ペインの ルートシミュレーター に金額・部署を入力
  2. 予算超過を再現したい場合はチェック
  3. シミュレート をクリック → 承認ルートが表示される
  4. 期待どおりでなければ設定を見直し
  5. ドライラン で実データに対して一括検証

4. 承認責任者の未設定補完

画面下部の警告から:

  1. 未設定部門のリンクをクリック → 部門マスタ画面へ遷移
  2. Department Head フィールドに担当者を設定
  3. 保存
  4. 本画面に戻ってアラートが解消したことを確認

5. 新しい Workflow Type を追加する

たとえば「発注書承認」を別途 Workflow Type として追加したい場合。

  1. 画面上部の + (追加) カードをクリック
  2. Workflow Type 名と対象 DocType を入力
  3. 既定ルートを設定(既存 Type の複製も可)
  4. 保存

承認者ロール一覧

ERPNext.JP 標準の承認系ロール:

ロール名用途
PR Approver購買依頼の一次承認者
Purchase Finance Approver金額が大きい購買の最終承認者(経理責任者)
部門長(Department Head)部門単位の承認(部門マスタに設定)
Budget Manager予算管理責任者(エスカレ先)
Purchase Manager購買マネジメント全般

ロール付与は /app/user から個別ユーザに対して行います。


メトリクス活用

サマリ帯の 4 指標は、承認ワークフローのパフォーマンスを定量評価する目的で表示されます。

指標改善の方向
今月のプラン数申請量の推移確認
自動承認率低額案件は自動承認化して手間を減らす
承認所要時間長時間化していたらエスカレルール見直し
エスカレーション発動率高すぎる場合は基本ルートの見直し

Tips

  • 変更前にシミュレーション必須: 複雑なルート変更は実運用直前にドライランで必ず検証
  • 金額レンジは過去実績ベースで設計: 過去 1 年の申請金額分布を見て、実際にフィットする境界値を設定
  • 自動承認の活用: 少額案件を自動承認化すると、承認者の負担が劇的に減ります
  • 予算超過エスカレ: 予算管理と連動させると、実質的な統制が強化されます
  • 承認責任者未設定を放置しない: 警告が出ている部門は、新規申請が発生したときに承認ルート不成立でエラーになります
  • Workflow Type を業務単位に分ける: 購買と経費精算を同一Typeで混ぜると設計が複雑化。業務単位で分離推奨

運用上の注意

  • 変更は会社全体に即時反映 されるため、テスト環境で十分検証してから本番適用
  • 既存の承認中案件 は、既存ルートでそのまま完了するのが原則(運用変更時は要確認)
  • Frappe Workflow との関係: 本画面は my_custom_app の独自機能。Frappe 標準の Workflow DocType と競合しない範囲で動作

次のステップ

  • 設定後の運用確認 → 承認ハブ で実際に承認してみる
  • 承認責任者の追加 → /app/user でユーザ編集してロール付与
  • 部門マスタの整備 → /app/department で Department Head 設定
  • 購買全体フロー → 購買業務フロー

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