初期セットアップ(システムセットアップ)

日本向け ERPNext の初期セットアップ手順。基本マスタ投入から ERP 設定、会計マスタまでの手順を解説します。

5分

このドキュメントの目的

システム管理者が、新しい環境を立ち上げるときに行う初期セットアップの手順書です。

セットアップは以下の 3 つの段階に分かれていて、各段階はスクリプトで自動化されています。管理者は、bench execute コマンドでスクリプトを順に実行するだけで、基本的な設定が完了します。

第1段階:基本マスタ投入(国・通貨・単位・品目グループなど)
第2段階:ERP設定(ロット管理・価格表・納期など業務パラメータ)
第3段階:会計マスタ(勘定科目・税テンプレートなど)

第 1 段階:基本マスタの投入

スクリプト: setup_erpnext_bootstrap.py

実行コマンド:

bench --site <サイト> execute my_custom_app.scripts.platform.setup_erpnext_bootstrap.run

会社や品目を登録する前に必要な、土台となる基本マスタを投入します。

登録される内容

#項目内容
1日本を登録
2通貨日本円(JPY)、米ドル(USD)を登録
3単位個、kg、g、パック、箱、ケース、セット、L、mL など。単位変換(例:1kg = 1000g)も設定
4会計年度日本の会計年度(4 月〜翌 3 月)を作成
5品目グループ完成品、仕掛品、原材料、包装資材 など、品目カテゴリの階層
6仕入先グループ原料仕入先、包装資材仕入先、設備・備品 などのグループ
7顧客グループスーパー・小売、卸売業者、EC(個人)、海外 などのグループ
8営業地域北海道、東北、関東 などの地域マスタ
9価格表標準購入価格表・標準販売価格表
10倉庫タイプ輸送中、保管用 などの倉庫タイプ
11グローバル既定値既定通貨(JPY)、既定国(日本)などの全社共通設定
12在庫設定在庫管理の基本設定値

この後、手動で行うこと

  • 会社の作成/app/company/new から会社を登録(会社作成時に既定の倉庫が自動生成されます)
  • ユーザーの作成:管理者・営業・製造担当などのユーザーアカウントを作成
  • ロールの割当:各ユーザーに適切なロール(販売ユーザー、製造ユーザーなど)を割当

第 2 段階:ERP 設定

スクリプト: setup_erp_settings.py

実行コマンド:

bench --site <サイト> execute my_custom_app.scripts.platform.setup_erp_settings.run

業務に必要な各種パラメータを設定します。

設定される内容

#項目内容
ロット・有効期限完成品・原材料に、「ロット番号あり」「有効期限あり」の設定を有効化
ロットの自動選択在庫設定で、先入先出に沿ってロットを自動選択(※運用時は手動確認推奨)
価格表卸売・直販・EC・業務用の販路別価格表を作成
品目価格完成品ごと・販路ごとの単価を登録
価格ルール季節割引・まとめ買い割引のルールを設定
出荷リードタイム完成品・原材料ごとの標準納期(日数)を設定
仕入先別リードタイム仕入先ごとの納品までの日数を設定

ロット管理の設定内容

以下の品目に「ロット番号あり」「有効期限あり」を設定します。

  • 原料:大豆系原料(黒豆、白豆 など)
  • 完成品:全完成品(製品ロットの追跡に必要)

注意:ロット番号ありを ON にすると、入出庫時に必ずロット番号の指定が求められるようになります。

価格ルールの設定例

価格ルールを設定すると、条件に応じて自動で割引が適用されます。

ルール名種類条件割引
季節割引(お中元)期間限定7 月 1 日〜8 月 31 日5% 割引
まとめ買い割引数量条件100 個以上3% 割引

第 3 段階:会計マスタ

スクリプト: setup_accounting_masters.py

実行コマンド:

bench --site <サイト> execute my_custom_app.scripts.platform.setup_accounting_masters.run

会計処理に必要なマスタデータを設定します。

設定される内容

#項目内容
1勘定科目製造原価・売上原価・仕掛品などの勘定科目を追加
2税テンプレート消費税テンプレート(10% / 8% 軽減税率)
3銀行口座会社の銀行口座を登録
4倉庫と勘定科目の紐づけ倉庫ごとの在庫勘定を設定
5品目の既定勘定品目の費用勘定・収益勘定の既定値を設定
6コストセンター部門別のコストセンターを作成
7支払方法現金・振込・手形などの支払方法を登録

その他のセットアップスクリプト

スクリプト用途
setup_company_fields.py会社カスタムフィールド(ロゴ、連絡先など)
setup_admin_workspace.py管理者ワークスペースのカスタマイズ
setup_workspace_improvements.py各ワークスペースのメニュー改善
setup_system_notifications.pyシステム通知ルール
setup_pr_workflow.py購買依頼の承認ワークフロー
setup_customization_workflow.pyカスタマイズ要望のワークフロー
setup_ec_integration.pyEC 連携設定
setup_keiei_dashboard.py経営ダッシュボード設定
setup_clip_inspection.pyクリップ検査設定

セットアップの実行順序

1. 第1段階(基本マスタ投入):setup_erpnext_bootstrap.run
   ↓
2. 会社の作成(Web画面から手動で)
   ↓
3. 第2段階(ERP設定):setup_erp_settings.run
   ↓
4. 第3段階(会計マスタ):setup_accounting_masters.run
   ↓
5. 品目マスタの登録(Web画面またはインポート)
   ↓
6. 部品構成表(BOM)の登録
   ↓
7. 顧客・仕入先の登録
   ↓
8. その他の設定スクリプト(必要に応じて)

活用のヒント

  • 会計年度:日本では 4 月〜翌 3 月が一般的です。会社設定で実際の会計年度を確認してください
  • 単位変換:部品構成表や所要量計算で異なる単位を扱う場合(kg↔g 等)は、単位変換テーブルに変換係数を登録しておく必要があります
  • バックアップ:セットアップ前に bench --site <サイト名> backup でバックアップを取ることを推奨します
  • デモデータ:デモ環境用のサンプルデータは scripts/demo/ 配下のスクリプトで投入できます

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