月次原価計算

月次原価計算ワークベンチの全体像ガイド(概要)。先入先出(FIFO)による実際原価・自動検算・異常値検知・差額仕訳の仕組みと、各操作画面への入口をまとめます。具体的な操作手順は各専用記事へ。

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この記事は「全体像」です。 月次原価計算の考え方と、各画面の役割・入口をまとめています。 個々の操作手順は、本文中および末尾の専用記事で詳しく扱います。

この機能でできること

製造業の月次決算に必要な実際原価を算出する機能です。

  • 材料費は**先入先出法(FIFO)**で、ロット単位に順番に消費していく計算をします
  • 労務費は作業時間の実績から、間接費は配分ルールに沿って、それぞれ原価に計上します
  • 標準原価と実際原価の差額レビューや、前月との比較も行えます

FIFO(先入先出)とは:先に仕入れた材料から順に使ったとみなして原価を計算する方法。業界標準の計算方法の一つです。

従来、多くの中小製造業では月次原価の算出にスプレッドシートを使い、材料費の先入先出計算を手作業で行い、間接費の配分に半日以上を費やし、最後に目視で検算するという負担の大きいプロセスを毎月繰り返していました。本機能は、その一連の作業をワンクリックで実行し、自動検算まで含めてシステムが完結させます。

中心画面(原価ワークベンチ): /app/costing-workbench

月次原価計算ワークベンチ — 期間を選択するとサマリーカードとナビゲーションリンクが展開されます


この機能が解決する 3 つの課題

課題 1:現場の入力漏れで原価計算が止まる

製造現場では、各作業が「どの最終製品向けか」の紐付け情報が入力されないまま実績が登録されることがあります。

本システムの解決策:最終製品の自動推論 — 原価計算の途中で、各容器(仕掛品の単位)の工程ツリーを自動的に遡り、最終製品コードを推論・補完します。現場の入力負担を増やすことなく、原価の「迷子」を防ぎます。

課題 2:イレギュラーな月で間接費の配分がエラーになる

「今月はメンテナンスで生産実績がゼロだったが、間接費だけ発生している」——こうしたケースで配分計算がゼロ除算エラーとなり、月次決算が止まってしまうことがあります。

本システムの解決策:ゼロ除算の自動回避 — 配分サービスは、生産実績がゼロの場合でもエラーにせず、期末仕掛品に対して自動的に間接費を按分します。期末仕掛品も存在しない場合は、未配分として検算ログに記録し、担当者に判断を委ねます。

課題 3:一発勝負の月次処理が怖い

「計算を回したら結果がおかしかったが、もう元に戻せない」——こうした恐怖が、月次決算の大きなストレスになっています。

本システムの解決策:非破壊の「裏帳簿」方式 — 本機能は、ERPNext 標準の在庫台帳や会計元帳を一切書き換えません。独立した「裏帳簿」上で計算を行うため、配分ルールや実績データを修正して何度でも再計算できます。最終的に確定した差額のみを仕訳として転記する安全設計です。


全体の流れ

期間を作成 → 期首残高を繰越 → 計算を実行 → 検算 → 差額レビュー → 仕訳作成 → 期間をクローズ

この一連の流れは、すべて**原価計算ワークベンチ(/app/costing-workbench)**を起点に進めます。各ステップの具体的な操作は、下表の専用記事で詳しく解説しています。


関連画面の一覧(操作はこちら)

本ページは月次原価計算の全体像を解説します。各画面の操作手順・項目の詳細は、下表の専用記事で扱います。

画面URL用途専用記事
原価計算ワークベンチ/app/costing-workbench期間の作成・管理・計算の実行・進捗監視・締め原価計算ワークベンチ
期首仕掛品入力/app/costing-opening-wip期首の仕掛品残高の確認・繰越期首仕掛品入力
配賦/app/costing-allocation-preview間接費プール × ドライバーの配賦シミュレーション・結果配賦
工程別仕掛品評価/app/costing-wip-summary工程別・品目別の仕掛品原価と 3 要素内訳工程別仕掛品評価
工程別原価転がし可視化/app/costing-fifo-flow材料の先入先出の消費順序と原価の積み上がり工程別原価転がし可視化
検算・差額レビュー/app/costing-validation-summary整合性チェック結果・個別詳細・前月比差額検算・差額レビュー

すぐ操作したい場合は、上表の専用記事へ進んでください。以下は、本機能ならではの「考え方」と「強み」を通しで解説します。


原価の 3 要素(考え方)

要素計算の考え方
① 材料費(直接材料費)各工程で消費した材料(ロット)を先入先出法で集計。古い仕入れから順に消費したとして、入荷単価をベースに計算
② 労務費(直接労務費)工程カードの時間記録から実績作業時間を集計。設備の時間単価 × 実績時間で各仕掛品へ配分
③ 間接費(製造間接費)間接費プール(光熱費・減価償却費など)を、配分ドライバー(作業時間・生産数量など)で按分。間接費 ×(対象品目の配分基準値 ÷ 全品目の合計)

詳細な確認・編集は 配賦工程別仕掛品評価 で行います。


コスト改善の種を見つける高度な分析

月次原価計算は「数字を出して終わり」ではありません。原価の異常や改善ポイントを自動で発見する仕組みが組み込まれています。

  • 異常ロットの自動検知:ロットごとの単価を平均と比較し、**乖離率 20% 超のロットに警告マーク(⚠)**を表示。入力ミスや仕入単価の異常を一瞬で特定 → 工程別原価転がし可視化
  • 不良ロス(スクラップ)の金額把握:不良品にも投入材料費・加工費を論理的に按分し、「今月の不良で出た金額的ロス」を正確に把握
  • 材料費ドリルダウン追跡:「この半完成品の原価が高い原因はどの原材料か?」を比例配分でツリー状に追跡
  • 前月比レビュー:当月と比較月の原価を材料費/労務費/間接費の 3 要素別に自動比較、変動の大きい工程・型番を可視化 → 検算・差額レビュー

差額レビュー画面 — 前月比


3 レイヤーの自動検算で検算作業をゼロに

原価計算の最終ステップで、以下の整合性チェックをシステムが自動実行します。スプレッドシートで人間が行っていた検算作業がゼロになります。

チェック項目内容
貸借一致投入原価 = 完成品原価 + 期末仕掛品原価
材料費整合先入先出で消費した材料の合計 = 材料費として計上した合計
数量整合投入数量 = 完成数量 + 仕掛数量 + ロス数量

検算結果と差額の確認・是正は 検算・差額レビュー で行います。


差額仕訳とクローズ(概要)

  • 差額仕訳:差額レビューから「仕訳下書き作成」で、裏帳簿と標準元帳の差額を調整する原価差額仕訳を自動生成。承認後に会計元帳へ転記します(操作: 検算・差額レビュー
  • 期間クローズ:検算に問題がなければ期間を閉じ、翌月へ期首仕掛品を繰り越します。クローズ後は原則変更不可(再オープンは管理者のみ)(操作: 原価計算ワークベンチ
  • CSV 出力:材料消費ロット・工程別仕掛品評価・配分結果・原価差額明細・製品別原価集計など各種データを Excel 対応 CSV(UTF-8 BOM 付き)で出力できます

次のステップ

  1. まず 原価計算ワークベンチ で期間を作成し、計算を実行する
  2. 計算前に 期首仕掛品入力配賦 を整える
  3. 結果を 工程別仕掛品評価工程別原価転がし可視化 で確認する
  4. 検算・差額レビュー で異常を解消し、差額仕訳を作成して締める

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