需要予測の設定
Prophet パラメータ・ICS 取込元・予測期間・EDI/EC エンジン ON/OFF 等の需要予測システムの基盤設定画面(サイドバー名: 需要予測の設定)の使い方。管理者・営業企画向け。
関連記事 予測の仕組み全体は 需要予測(AI)、月間俯瞰は 需要カレンダー、精度可視化は 予測精度ダッシュボード。 本記事は 設定管理者 / 営業企画 向けです。日常運用のみであれば他記事で十分です。
概要
需要予測の設定は、需要予測システム全体の 基盤設定 を管理する画面です。Prophet のハイパーパラメータ、ICS カレンダーフィードの取込元、予測期間、EDI/EC エンジンの ON/OFF、AutoTuner の閾値などを制御します。管理者・営業企画向けの設定画面で、一般営業担当者が触る画面ではありません。
画面URL: /app/demand-intelligence-settings
本画面の role 配置について
実装上は sales 配下に置かれていますが、admin 寄りの性格 を持つ画面です。管理者向けマニュアル(admin)への移動も検討余地ありと audit で言及されていますが、現段階では sales 配下に配置しています。
こんなときに使う
- 初期導入時に Prophet パラメータ を自社実績に合わせてチューニングする
- ICS カレンダーフィード の URL を登録・更新する
- EDI / EC 予測エンジン を個別に ON/OFF したい
- AutoTuner の動作閾値を調整する
- LLM / Web Search API の資格情報を設定する
画面構成
設定画面は論理カテゴリごとにセクション分割されています(標準的な Frappe Settings DocType の UI)。
1. エンジン制御
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
| EDI 予測エンジン ON/OFF | EDI 予測の自動実行切替 |
| EC 予測エンジン ON/OFF | EC 予測の自動実行切替 |
| 予測期間(EDI) | 既定 8 週間先 |
| 予測期間(EC) | 既定 2 週間先 |
2. Prophet ハイパーパラメータ
AutoTuner が自動調整する値ですが、手動で初期値を与える こともできます。
| パラメータ | 役割 | 典型値 |
|---|---|---|
changepoint_prior_scale | トレンド変化点の感度 | 0.05(既定) |
seasonality_prior_scale | 季節性の感度 | 10.0(既定) |
holidays_prior_scale | 祝日・イベント影響の感度 | 10.0(既定) |
seasonality_mode | 季節性の加算モード | additive / multiplicative |
値を大きくすると該当要素の影響が強くなります。業態・商品特性で最適値が変わるため、初期導入時は 既定値で 2〜3 ヶ月運用 → AutoTuner が学習した値を参考に手動微調整、という流れが現実的です。
3. AutoTuner 設定
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
| 有効 / 無効 | AutoTuner を使うか(通常は有効) |
| MAPE 閾値 | この値を超えたら再チューニング実行 |
| 最大試行回数 | 1 回のチューニングで試す Prophet 組合せ数 |
| 実行スケジュール | EDI: 週次 / EC: 日次(既定) |
4. ICS カレンダー取込
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
| ICS URL リスト | 複数の ICS フィード URL を登録 |
| 同期頻度 | 1 日 1 回 / 1 時間ごと 等 |
| 認証 | Basic 認証・API Key 認証(必要に応じて) |
登録された ICS フィードから、需要カレンダー の Demand Event が自動生成されます。
5. LLM / Web Search API
突発セール検知のための外部 API 連携。
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
| LLM API エンドポイント | OpenAI / Anthropic 等 |
| API キー | 暗号化保存 |
| Web Search API キー | Google Custom Search / Bing 等 |
| 検索キーワードテンプレート | 「楽天 セール」「Amazon プライムデー」等 |
6. チャネル定義
EC 予測のチャネル(楽天 / Amazon / Yahoo! / MakeShop / GoQ 等)を管理。各チャネルごとに個別の Prophet モデルを訓練します。
主な操作
1. 初期導入時のセットアップ
- 画面を開く(System Manager ロール推奨)
- Engine 制御 で EDI / EC を ON
- Prophet パラメータ は既定値のまま(触らない)
- AutoTuner を有効、閾値は MAPE 20% など標準値
- ICS URL リスト に主要な EC カレンダーフィード URL を登録
- LLM / Web Search API の資格情報を設定
- 保存 → スケジューラに自動登録される
2. 年度更新時(3 月末・4 月初)
- ICS URL リストに変更がないか確認
- 新しい EC プラットフォーム追加があればチャネル定義に追加
- 昨年度の AutoTuner 実行ログを振り返り、極端な値があれば手動でリセット
3. 精度が悪化したとき
- 予測精度ダッシュボード で悪化の範囲を確認
- 本画面で Prophet パラメータを手動調整(上級者向け)
- または AutoTuner 閾値を下げて 再チューニング頻度を上げる
- 2 週間様子を見てから再評価
4. 新しい EC プラットフォーム追加
- チャネル定義 で新チャネルを追加(例:
tiktok_shop) - EC 設定(Phase 2 で記事化予定)で取込設定
- 本画面で予測エンジン対象に含める
- 実績データが 2〜3 ヶ月溜まってから精度を評価
設定変更の影響範囲
| 変更項目 | 影響する画面 |
|---|---|
| Prophet パラメータ | 受注 Hub 予測モード / 予測精度ダッシュボード / 需要カレンダー |
| ICS URL | 需要カレンダー のイベント表示 |
| エンジン ON/OFF | 関連予測表示の全画面 |
| AutoTuner 閾値 | 内部スケジューラのみ(UI 即時変化なし) |
ロールと権限
- System Manager: フル権限
- Sales Manager: 閲覧と一部設定(ICS URL、チャネル等)
- Sales User: アクセス不可 が推奨設定
本画面は設定画面のため、誤操作防止のためにロール制限を厳しめにすることを推奨します。
Tips
- 初期 2〜3 ヶ月は既定値で運用: AutoTuner が学習するのを待つ
- 変更は 1 つずつ: 複数パラメータを同時に変えると何が効いたか分からない
- 変更前後でスナップショット: 予測精度ダッシュボード で変更前後の MAPE を比較
- ICS フィードは HTTPS 必須: 社内規程でも HTTPS のみ許可推奨
- LLM API のコスト管理: 検索頻度が高すぎるとコスト増。1 日 1 回程度のスケジュール推奨
よくある質問
Q: Prophet パラメータを変えたら過去の予測も変わりますか?
いいえ、過去の予測値は変わりません。次回以降の予測生成 から新パラメータで計算されます。過去の実績と比較する MAPE は変わりません。
Q: AutoTuner と手動調整は併用できますか?
はい。手動で初期値を与えた後、AutoTuner が継続的に最適化します。手動値は「スタート地点」として機能します。
Q: 小規模事業者で Prophet インストールが難しい場合は?
Prophet の代わりに移動平均等の簡易予測にフォールバックする構成は実装上可能ですが、本システムは Prophet 前提です。インストール方法は管理者向けドキュメントを参照、または WSL 側エージェントに相談してください。
Q: ICS フィードから想定外のイベントが取り込まれています
イベントタイプ・キーワードで除外フィルタを設定できます(本画面のフィルタセクション)。また 需要カレンダー 側で個別イベントを手動削除も可能。
Q: 本画面を admin 配下に移動すべきでは?
audit でも議論されているポイントです。管理性質は admin 寄りですが、運用主体が営業企画チームであることから sales 配下に配置しています。将来的な移動は Issue で議論予定。
次のステップ
- 予測の仕組みを理解する → 需要予測(AI)
- 月間俯瞰 → 需要カレンダー
- 精度可視化 → 予測精度ダッシュボード
- 予測モード入力 → 受注 Hub 予測モード